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ちょっとした疑問を解消!小説執筆Q&A -後藤みわこ先生編-

 小説を書いているとき、ふと「これってどうしたらいいんだろう?」と疑問に思うことってありますよね。公募スクールにも、受講生からの質問やお悩みが数多く寄せられます。
 そこで今回は、これまでに届いた質問の中から代表的なものをピックアップし、公募スクールの先生にご回答いただきます!  第一弾は、童話・児童文学系の講座を担当されている後藤みわこ先生です。

後藤みわこ

入門・実践講座「はじめての童話講座」「童話公募必勝講座」、個別指南講座「童話」「児童文学」講師

第一子誕生を機に創作を始め、童話賞での入選は20回を数える。その後、第17回福島正実記念SF童話賞を受賞してデビュー。現在同賞の選考委員を務める。『カプリの恋占い』『Hは寝てまて』『ボーイズ・イン・ブラック』『秘密の菜園』など著書多数。公式Twitter

実際に行ったことがない場所の情景描写をリアルにするために、どんな工夫をしたらよいでしょうか?

A. 写真や映像をもとに、五感を使って空想してみましょう

後藤みわこ先生(以下、後藤先生)
 参考になる写真や映像があれば、「モデル」として使います。そこに、肌や耳や鼻で感じる情報をさりげなくプラスしましょう。気温、湿度、風の吹き方、物の手ざわり、聞こえる音や声、漂ってくる匂いなど……。その場に立たないとわからない「何か」を空想力で補うのです。

自分の行ったことがある場所だけを舞台にして小説を書くのは難しいですよね。でもこれまでの経験をもとに、聞こえたこと、見えたものなどを一つ一つ想像することならできそうです!


比喩がうまくなる方法を教えてください!

A. 「練習あるのみ」です!

後藤先生
 普段わたしが意識していることをお話ししますね。参考にしていただいて、ぜひ独自の練習法を編み出してください。

① 日常生活の中で直感的にたとえる
 散歩中に「おまんじゅうみたいなキノコ発見」とか「この木ってまるで巨大ブロッコリー」とか、文学性どうこうは脇に置いて、直感的に「たとえ」を考えるようにしています。

② 新鮮だと感じた比喩をメモする
 書物などで「これは新鮮だな」と思う比喩を見つけたら、メモします。「新鮮」と感じた理由や同じ感覚を抱ける比喩を考えます。

③ マスコミで使われる比喩をチェックする
 ニュースで「何度か聞こえた比喩」をチェック。マスコミで使われる比喩は、より多くの人が理解できるように定型化されています。ですから、作品の中で「使わない」ために覚えます。

なるほど、日々のちょっとした努力が必要なのですね。「作品の中で使わないために覚える」というのはなんだか意外でした!


どの年齢向けの作品を書くのが得意かわかりません。

A.「得意」よりも「書いて楽しい、ノレる」という感覚のほうが大事

後藤先生
 子ども向けの作品はどうしても対象年齢のことを考えざるを得ないので、講座ではついついそのお話をしますけれども、どんな年齢層に向けたものが得意かは、人によって違いそうです。それよりも、「書いていて楽しい、ノレる」という感覚のほうが大事かもしれません。現実にはないことかもしれませんが、「すごくいいものが書けるのに苦痛」では、辛いですよね。
 「好き」「楽しい」「ノリノリ」という感じがあるかどうか、それを探る意味でも、さまざまな年齢層のものを書いてみるといいんじゃないでしょうか。それらの中から「合うもの」を知るのです。

これは童話や児童文学のみならず、それ以外のジャンルを執筆されている方にも応用できるアドバイスではないでしょうか。特に書き始めたばかりの初心者の方は、書いていて「楽しい」という気持ちを大事にしたいですね!


小説を書き終えても、タイトルがうまく決められません。

A. 作品のテーマを見直してみましょう

後藤先生
 タイトルがなかなか決まらない場合は、内容的にブレがあるのかもしれません。テーマが定まらないというのでしょうか。
 書いているうちに自然にタイトルが浮かんできた場合はそれに従うとして、あまりにタイトルが浮かばない、決まらないというときは、作品そのものを見直すことも試してください。複数のアイデアが混ざってしまって、何(誰)についての話なのかがわからなくなっている……そんなミスに気づけることもあります。
 また、小説でもドラマでも「かっこいいな」「真似したいな」というタイトルを見つけたら、メモしておくといいですよ。

テーマが定まっていない、というのは、自分ではなかなか気づかない点かもしれません。タイトルを考える過程で気づくこともあるのですね。


先生は行き詰まることはありますか? 行き詰まった時はどう対処されますか?

A. 行き詰まる原因を考え抜いて、いったん忘れる

後藤先生
 はい、わたしももちろん行き詰まります。しょっちゅうお話しする例ですが、200枚の作品が「ほぼ」できているのに、たったひとつのふさわしい動詞が見つからなくて、ひと月悩んだことがありました(見つかってみれば「なんだ、これか」と思うような一般的な言葉でした)。
  行き詰まり方もさまざまですが、やはり、「考えて考えて考え抜いて、忘れる」がよいみたいです。「忘れる」がミソです。そうすると、まもなく、答えが勝手にぽっかりと浮かんでくるんです。原因を探すのも大切だと思います。「考えて考えて考え抜いて」の部分で、それをするのです。

プロの先生でも行き詰まることがあるのですね。最初から忘れてしまうのではなく、「考えて考えて考え抜いてから」忘れるということがポイントです!


 今回ご紹介したのはほんの一部ですが、皆さん一度は疑問に思ったことがある内容だったのではないでしょうか。
 悩みは人それぞれ、解決方法も人それぞれです。決まった正解はありませんが、ぜひ先生のご回答を参考にして、自分なりの解決方法を模索し、楽しい執筆生活を続けてくださいね。