- インタビュー
三上詩絵先生に聞く!年齢性別を問わず夢中になる“リアルな色鉛筆画”の魅力
リアルな色鉛筆画で人気の三上詩絵先生。「はじめての色鉛筆画講座」スタートにあたり、色鉛筆画との出会いや他の画材にはない魅力、講座の中身についてたっぷり語っていただきました。
三上詩絵
茨城県つくば市在住。アトリエ・ハートタイム展で定期的に作品を発表。グループ展参加。田中己永氏主宰アトリエ・ハートタイムの色鉛筆講師。県内近郊カルチャースクール色鉛筆講師。2019年よりテレビにて色鉛筆画家として出演。著書に『3色から始める 描こう!リアル色鉛筆』(日貿出版社)、『身近なものから始める リアル色鉛筆レッスン』(日貿出版社)、『写真みたいな絵が描ける 色鉛筆画』(日本文芸社)「見てすぐわかる3色からのリアル色鉛筆混色レシピ」(日貿出版社)がある。
時間がかかる。でも、夢中になってしまう。
――三上先生は、いつから色鉛筆画を描きはじめたのですか?
三上詩絵先生(以下、三上先生)
つくば市に移り住んでから、水彩画教室に通っていました。一、二年経ったころ、先生が描かれた大きな桜の色鉛筆画を見せてくださったんです。それがあまりにも素晴らしくて、色鉛筆でこんな絵が描けるのだと感動しました。色鉛筆を本格的な絵画の画材として使う感覚はなかったので描いてみたくなって、まずは持っていた色鉛筆で1枚描いてみましたね。
――最初は水彩画を習っていらしたのですね。そこから色鉛筆画にハマっていった?
三上先生
そうですね。水彩画を描きながら色鉛筆画も描くようになった。色鉛筆から伝わる木の温もりや感触がとても好きで、カッターで削って使うほどでした。水彩画より色鉛筆画の方が描くのに時間がかかるので、もっと効率よくできないかな、と試行錯誤を続けるうち、どんどん描く枚数が増えていった。結局、色鉛筆画に移行してしまいまいました。そして、いまだに模索しています。(笑)
――今回始まる「はじめての色鉛筆画講座(全6回)」では、『3色から始める 描こう!リアル色鉛筆』が教材となっています。色鉛筆で描いたと思えないリアルさで驚きました。
三上先生
私の色鉛筆画は、鉛筆を研いで線で埋めていくスタイルです。絵筆で描く場合は広い面を一気に塗れますが、色鉛筆は何度も細い線を重ねて塗るので、工程が多いんですね。時間は結構かかります。
動画でのポイント解説付き!
三上詩絵『3色から始める 描こう!リアル色鉛筆』
(日貿出版社・2,000円+税)
色鉛筆で写真のようにリアルに描くための技法書。赤、青、黄の三色を基本に、プラス1〜2色の少ない色数で様々な作品の描き方が掲載されている。
第5回の選択課題
「猫」
細い毛を表現するために色鉛筆の先を常に尖らせて、一本一本描いている。
――根気がいりそうですね?
三上先生
いると言えばいりますね。(笑)他の講座ですが、年数回ワークショップをやっています。3時間座りっぱなしでも、皆さん夢中で描いていますよ。たまにお子さんも参加されますが、「水分取ってね」とか声をかけないと休まないくらい。色鉛筆画には描き始めると夢中になってしまう、そんな魅力があるのだと思います。
急がず焦らず塗れば、初心者でも上手くなる。
――「はじめての色鉛筆画講座(全6回)」はデッサンができなくても受けられますか?
三上先生
課題のモチーフはすべてこちらで用意しているので、デッサンは必要ありません。デッサンから始めると、時間がかかってしまって色鉛筆画まで辿りつかない。今回は色鉛筆で塗る楽しさを早く体験していただきたいのでこういう風にしています。
――それは嬉しいです。カリキュラムについて詳しく教えていただけますか?
三上先生
最初は色鉛筆に慣れてもらうところから始めます。どのくらいの強さならどんな色が出るとか、きれいに仕上げるにはどんな風に塗っていくとか。塗り方の基本を練習していただいて、簡単なモチーフでハガキサイズのものを仕上げていきます。
2回目は、「塗りたい色の色鉛筆がない」「何色を塗っていいかわからない」と悩まないように、赤と黄でオレンジになるとか、青と黄で緑になるとか、混色について学んでいただきます。モチーフは「ジェリービーンズ」です。
――基本をしっかり練習できるのがいいですね。
三上先生
3回目は「オレンジ」と「リボンのついた鈴」を描いてもらいます。赤と黄でオレンジの濃淡を表現し、消しゴムを使って瑞々しさを描きます。また、つるっと光る金属の鈴と少し光沢のある布のリボンという素材の違いをどう表現するかも練習していただきます。これができると皆さん感動されますよ。
第3回課題
「オレンジ」
瑞々しく光る粒は、塗りつぶした後に消しゴムで消して表現する。
――ここからちょっとハードルが上がりますね。
三上先生
そうですね。4回目は、「ビー玉」と「雨上がりの葉」を描きます。透明の表現ですね。透明ってどうしたらいいのかと最初は戸惑われると思います。でも一度描いてみると、意外と透明でも色を塗るんだな、透明にも影があるんだなと気付きます。
第4回課題
「雨上がりの葉」
水滴の光と影を意識してグラデーションで塗る。
――透明が描けるようになるのは嬉しいですね。
三上先生
この辺で色鉛筆画にも慣れてくるので、5回目は課題を自分で選んでいただきます。「緑のブドウ」「ピカピカのリンゴ」「赤いバラ」「猫」から好きなものを選ぶ。受講生の中にはすでに上手い方や経験者もいると思うので、ちょっと難しい課題も混ぜています。自分の好みやレベルで選んでいただくといいと思います。6回目は、5回目の添削を受けて加筆して提出してもいいし、5回目の中の別の課題で出してもOKです。
――添削ではどこを見ますか?
三上先生
生徒さんによって指摘する部分は様々なのですが、陰影ができているかは必ず見ます。集中して描いていると、どうしても細かい部分に目が行って全体が見えなくなり、陰影が描けなくなるんです。作品として見た時、ある程度のメリハリがないと面白くない。仕上げの後半は作品から離れて、全体を見る時間を多く作ってほしいです。
――ズバリ、どのくらいで上手くなれますか?
三上先生
個人差があるので一概に言えませんが……。(笑)講座の第1回の、基本の塗り方をしっかりやっていただいたほうが結果的に上手くなると思います。「早く作品を描きたいのに、こんな地道な……」と思うかもしれませんが、まずはここを押さえてほしい。その後の課題はぜひテキストに忠実に。急がず焦らず塗れば、どれも上手く仕上がると思います。
完璧でなくても、楽しければいい!
――先生から見た色鉛筆画の一番の魅力は?
三上先生
色鉛筆画は、ダイレクトに紙の感触が伝わります。筆で描く絵と違って自分の力加減でどんな色合いでも出せる。パレットの上で絵具を混ぜて色を作るのではない、紙の上で色を作る感覚がいいんです。色鉛筆でこんなことができるのか、という発見もあると思います。
第5回の選択課題
「緑のブドウ」
緑色の色鉛筆を使わず、黄、青、赤、黒の混色で塗られている。
――色鉛筆画を習うのはどんな方が多いのでしょう?
三上先生
20代~80代までバラバラです。全体的には女性が多いですが、平日の教室などは男性が意外と多いんですよ。男性はリアルで精密な絵が得意なのかもしれませんね。私の出している本は若い女性向きのような雰囲気ですが、実際は性別、年代共に幅広いです。
――最後に受講する方にメッセージを!
三上先生
色鉛筆画はとにかく気軽にできます。5分でも10分でも、紙と色鉛筆があったらちょっとした隙間時間で描ける。それが他の画材と違う良さだと思います。失敗を恐れて最初の一筆が描けない方も多いですが、消しゴムで修正できるので失敗を恐れず描いてほしい。もし失敗しても修正できなくても、楽しければいいのです。完璧を求めず、いろんな色ができていく感動を体験していただきたいです。
リアルな絵を描こう! はじめての色鉛筆画講座
色鉛筆画を始めよう!
初めて色鉛筆画を習う方向けの講座です。講師は人気のテレビ番組にも出演する三上詩絵先生。教室に通わずにアートを学びたい、じっくり作品制作をしてリフレッシュしたいという方に特におすすめです。
三上詩絵の リアル色鉛筆画講座 中級
色鉛筆画を描き慣れてきたら
中級講座では、自由度を上げ課題の幅を広げました。最終課題では、自由課題としてご自分の描きたいモチーフを制作できます。【はじめての色鉛筆画講座】修了された方や、独学で色鉛筆画を長く学んでいた方にもピッタリの講座です。
取材
岡田千重
フリーランス・ライター。広告物の企画・ライティングの経験を経て、2003年より映像系クリエイターにインタビューをするようになる。現在は月刊公募ガイドでも作家のインタビューを手掛ける。2012年、1000字シナリオコンテスト最優秀賞受賞。2013年度より、シナリオ・センターにて講師およびシナリオ添削を担当。公募スクールではライティングやエッセイの講座を担当。
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