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あなたの絵本、見せてください!――「はじめての絵本講座」受講生の作品紹介(2023年5月更新)

2018年に開講した「はじめての絵本講座」。講師の野崎麻理先生と二人三脚で絵本制作に取り組まれた受講生の作品をご紹介します。受講生の思いや野崎先生の講評とともにぜひご覧ください! 今後、どんどん更新していく予定です! どうぞお楽しみに!

野崎麻理

「はじめての絵本講座」講師

東京都生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。装幀家菊地信義氏に師事。講談社、集英社などの書籍の装幀、「こどもちゃれんじ」の表紙デザイン等約500点を手がける。現在武蔵野美術大学非常勤講師「絵本」、「造形基礎」担当。こどものアトリエ「かいどりやまアートスタジオ」主宰。


NEW!「学んだことを再び辿りながら、次の作品に挑むつもりです!」とくむらあやこさん

『ジャッキー王国のなき虫マール』とくむらあやこ
〈あらすじ〉
邪気の国の精霊たちは、人間の体の中に入り込んでは元気の素を吸って生きていました。この国に住む精霊の男の子「マール」は気が弱くてなき虫。そんなマールが両親の元を離れて人間の世界へ行き、ある女の子との出会いを通して自立していきます。

《制作した絵本について》

とくむらあやこさん(以下とくむらさん)
架空の国「邪気の国」と、少し昔のヨーロッパの田舎をイメージして「人間の世界」を描きました。
伝えたいのは、強くしなやかな心を持つことと、人を思いやることの大切さ。加えて、子を思う親心にも触れております。
小学校低学年から大人の方までを対象としました。

《受講した感想》

とくむらさん
1冊の絵本を書き上げるのに、これほどまでに根気が必要とは……。途中で挫けそうになりながらも、どうにか形にできたのは、野崎先生のきめ細かいご指導と励ましのお陰です。
文章の取捨選択、見やすくする工夫や効果的な色の使い方など、多くのアドバイスをいただきました。
学んだことを再び辿りながら、次の作品に挑むつもりです!

《野崎麻理先生のコメント》
注目させたいポイントを強調する絵作り

この絵本は、なき虫で心やさしい精霊の男の子マールが、人間の世界で、心弱っている女の子を勇気で助ける物語です。徳村さんは、構想の段階から、しっかりとした物語、登場人物のそれぞれの役割をよく考えていました。
場面展開が多様で、ボリュームのある物語ですが、各ページで読者が分かりやすいように絵も文章も整理して大変丁寧に表現しています。この物語の良いところは、出てくる登場人物がそれぞれにやさしい心を持っているところを描いているところです。
途中、めりはりをつけたり、画面に必要なものをはっきりさせるなど直したことで、次々と先が読みたくなるような魅力的な絵本となりました。

「作りたかった絵本を完成させる事ができて、本当に嬉しい」つちやえいかさん

『ままのおたんじょうびに』つちやえいか
〈あらすじ〉
今日はママのお誕生日。りゅうくんは お花をつんでママに渡そうと、野原に向かいます。大きな川にかかった丸太を勇気を出して渡ったら、ドッボーン。川に落ちてしまいました。こわくて、もう渡れないよ…。涙がこぼれたその時、目の前に現れたのは…。

《制作した絵本について》

つちやえいかさん(以下つちやさん)
テーマは、できるかできないか、ではなくやるかやらないか。まずはやってみようよ!最初は失敗だって当たり前。くじけずにそれでもやり続けたら、いつしか応援してくれる仲間が現れたり、思いもよらない強力な後押しが、人生に巻き起こるかも知れない!幸せをつかみに行こう!

《受講した感想》

つちやさん

6回の添削提出中、思うように進められない時期もありましたが、毎回先生が良い所を見つけて下さり、絵本の場面割りや、ストーリーの流れをアドバイスして下さり、自分では気が付かない点が沢山ありました。作りたかった絵本を完成させる事ができて、本当に嬉しいです。ありがとうございました!


《野崎麻理先生のコメント》

注目させたいポイントを強調する絵作り

「ママのおたんじょうびに」
 この絵本は、うさぎのりゅうくんがお母さんの誕生日プレゼントの花束を作るために、行ったことのない川向こうのお花畑に勇気を持って行ってくるお話です。うさぎ以外にもぞうやきりんなどいろいろな動物が出てきますが、どの動物も表情が豊かで、いきいきとした動きが丁寧に描けています。描きたい物をよく観察研究することでデッサン力のある絵となっています。主人公が努力して成長していく姿に、読者も新しいことにチャレンジしてみようと思うのではないでしょうか。


「子どもたちの心にひびく温かい時間を届けたい」あまこよしこさん

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『ぴいちゃん あじさいが咲いたよ』あまこよしこ
〈あらすじ〉
ある日、りこちゃんとお父さんが散歩に出かけると、からすに襲われている3匹の子猫を見つけました。家へ連れ帰り、ぴいちゃん、くろっぺ、しゃーぽの3匹との生活が始まりますが、ぴいちゃんが重い病気にかかっているとわかります。

《制作した絵本について》

あまこよしこさん(以下あまこさん)
子どもたちの心にひびく温かい時間を届けたいという願いをもって受講を始めました。
出来上がったとき、冒険も意外性もスピードもないお話になってしまったと少々失望したのですが、講座の中で先生から「冒険や目新しさだけが魅力的な絵本ではなく、しっかりとした信念がある作品がいちばん輝く光を放つと私は思います。この作品からはそれを感じました」とのコメントをいただき、また家族たちからの「いいね」を聞きほっとしました。

《受講した感想》

あまこさん
一年間かけて絵本作りに必要な基礎理論や具体的な制作手順についてしっかり学び、難しいことに向かう面白さ、出来上がっていくことの楽しさ、喜びを体験しながら、一冊の絵本を仕上げることができました。
先生の励ましと個性を大切にした丁寧なご指導を受けて生まれた一冊を大切に、今は次の一冊を考えています。

《野崎麻理先生のコメント》
注目させたいポイントを強調する絵作り

あまこさんは80代の受講生の方ですが、素晴らしい若々しさと制作意欲のパワーを感じる方です。
絵本はあまこさんが飼っていた猫の兄弟の実話をもとにしています。偶然出会った子猫たちを家族が愛情いっぱいに育てていく様子が、実に細やかに描かれています。
長い物語ですが、文章が簡潔にまとまっていて、登場人物が魅力的です。物語の最後は胸がいっぱいになりました。絵も丁寧に描かれていて、構図も変化に富み、どの場面も新鮮に見えました。
制作中は、場面ごとに注目させたいポイントを強調できるように絵作りを修整し、文章と絵がわかりやすく連動するようになりました。

「昔から絵本を作りたいと思っていた」小川明子さん

『かるがも一家のおひっこし』小川明子
〈あらすじ〉
子がもが大きくなったので、かるがも一家は大きな川へ引っ越すことにしました。新しいおうちに行くには、街中も通らなければなりません。住み慣れた池を出て、街の人々に見守られながら道路を渡り、かるがも一家は新しいおうちへ歩みを進めます。

《制作した絵本について》

小川明子さん(以下小川さん)
どんな内容の絵本を作ろうかと悩みました。テレビ番組で見たかるがもの引っ越しが好きだったのでこれを絵本にしようと思いました。

《受講した感想》

小川さん
昔から絵本を作りたいと思っていたのでこの講座を見つけてとびつきました。とても満足できました。

《野崎麻理先生のコメント》
資料を研究し、いきいきとした生き物や自然を描いている

『かるがも一家のおひっこし』は、かるがもの子育てを丁寧に描いた、生き物のたくましさを感じる物語です。
小川さんは資料をよく研究して、誠実に生き物や自然の姿を描いているため、かるがもの生態が読者に正確に伝わる絵本となっています。
水彩絵の具で描かれた絵は、色彩も美しくまとまっています。画力のある方であり努力家だと感じました。初めのラフ案に比べると、完成した絵本には視点の変化、背景の描写も工夫があり、メリハリのある構成となりました。

「はじめての絵本作りはなかなか一人ではできない」かわいさちこさん

『ツノくん』かわいさちこ
〈あらすじ〉
ある日、クモッチが竹藪に行くと、「ツノくん」という見知らぬ動物と出会います。クモッチは森のみんなをおどかそうと「オニがきた」と話してまわりますが、ツノくんはあっという間に人気者に。クモッチはみんなに謝って仲間に入れてもらいます。

《制作した絵本について》

かわいさちこさん(以下かわいさん)
絵本は「切り貼り絵」で制作しました。ベタベタ手にくっつき失敗したり、予定と違った色味になったり、急きょデザインを変更したりハラハラしたこともありましたが、何とか成功させることができました。完成した絵本を孫に読み聞かせることができ大きな喜びになりました。

《受講した感想》

かわいさん
キャラクターを作ることは楽しかったのですが、問題はストーリーでした。
年数をかけ温めてきたつもりでしたが簡単にはいきません。野崎先生のご指導は最初から最後までうなずくことばかりで、当初よりもぐっとストーリーが深まりました。
台割やダミー本を作ることで絵本のイメージも徐々に膨らみ、添削でさらにやる気も出てきました。
改めて思うことは、はじめての絵本作りはなかなか一人ではできないということです。手作り絵本1号は大切な宝物になりました。

《野崎麻理先生のコメント》
キャラクターに個性があり魅力的

かわいさんは、最初から作りたい物語や登場する生き物に具体的なイメージがあり、ラフ案から積極的に取り組んでいました。
キャラクターに個性があり、とても魅力的です。様々なキャラクターが出てくるので、それぞれの役回りについて一緒に考えながら物語をまとめていきました。人間社会にも通じるようなコミュニケーションの大切さを考えさせられる、メッセージのある絵本となりました。

「プロの先生の見方はここまで違うのか」いまづなるみさん

『みんなでおめでとう』いまづなるみ
〈あらすじ〉
今日はこぐまちゃんの誕生日。いちごのケーキを買ってきたお父さんでしたが、こぐまちゃんのためにチョコレートケーキを探しに行きます。ねずみくんはチョコレートケーキを森の仲間たちと食べようしますが、みんなで分けるには少し小さいようです。

《制作した絵本について》

いまづなるみさん(以下いまづさん)
ある日、書店で手に取った「公募ガイド」で絵本の作り方の通信講座が始まることを知りました。絵本を作ろうとは思っていませんでしたが、ふと思いついてメモに書き留めていた物語が使えるのではと思い、受講することにしました。

《受講した感想》

いまづさん
受講して一番感じたのは、講師の野崎先生の添削の丁寧さでした。自分だけでは気付かなかった事も数多くあり、どこをどう変えたら良くなるのかと言った指摘もうなづける事ばかり。毎回、プロの先生の見方はここまで違うのかと驚いていました。
先生に助けられながら、一冊の絵本を作りあげる事ができたのは何よりうれしかったです。

《野崎麻理先生のコメント》
読み終わったあと幸せな気持ちになる

だれにでも親しまれるようなかわいい動物が出てくる絵本です。絵は温かみがあり、どの動物も表情豊かで愛らしくいきいきとしています。
物語は「思いやり」がテーマ。誕生日のケーキを通して、森の仲間達が仲良く悩み事に向き合っていきます。起承転結がはっきりとしていて、伝えたいメッセージもわかりやすくまとまっています。
動物それぞれの良さが引き出せるようにお話を修整しながら良い作品になっていきました。

以上、受講生5名の作品をご紹介しました。
みなさん、ふと思いついた物語も、実体験も、「絵本」という形にすることで達成感を得られたとお話しくださいました。また、講師の添削や講評を受けることでモチベーションを保ち、完成度を高めることができたとご感想をいただきました。

絵本制作は物語、絵、本としての体裁や構成など、ポイントがたくさんあります。
はじめての絵本講座」を受講すれば、野崎麻理先生から確かな知識を得て、アドバイスを受けることができます。本講座で基礎を身につけて、修了後は自力で制作することも可能です。ぜひご受講をご検討ください!

子どもへの読み聞かせや、絵本公募への挑戦の第一歩に。 はじめての絵本講座

絵本制作を学ぼう!

初心者向けの絵本制作講座です。最初は基礎知識や、世にある絵本を読んで学び、徐々に絵本制作へ移ります。台割やダミー本の段階でアドバイスを受けられるので、最初からクオリティの高い作品を作れます。